短命 [た]
【短命】
ご隠居のところに、弔いの言葉を教えてくれ、とやってきた男。
よく話を聞いてみると「三度目の弔いだ」という。
キレイな後家さんのところに婿入りした男があった。
背が高くて色が白くていたが、そのうち具合が悪くなり亡くなってしまった。
次に婿入りしたのが体のでかくて色の黒い男らしい人。
この人も直に具合が悪くなって亡くなり・・・
三人目のご亭主が、この間亡くなった。
弔いには過去に行ったことがあるが、いずれもうまく言えないから
今度はご隠居さんに教えてもらいたいと、こういうわけでやってきた。
三人もの亭主が次々に亡くなるわけは、奥さんが美人過ぎるからだ、と
ご隠居が話すが、その意味がなかなかわからない。
ご飯をよそってもらう。それを受け取る手と手が触れる。
顔をあげると抱きしめたくなるようないい女!ってんだ、
ご飯ご馳走様ってなったあとはすることがねぇやね。
だから、短命なんだよ。
何度かこういう説明を受けてようやくそのワケを理解した男は
自宅に帰ってさっそく自分の女房に、茶わんにご飯をよそってもらい
両手で渡してもらう。手と手が触れ合うまでは良かったが、
顔をあげたら自分の女房で・・・
「ああ、大丈夫だ、俺は長命だ」
2009-02-25 23:42
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