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短命 [た]

【短命】

 ご隠居のところに、弔いの言葉を教えてくれ、とやってきた男。
 よく話を聞いてみると「三度目の弔いだ」という。

 

 キレイな後家さんのところに婿入りした男があった。
 背が高くて色が白くていたが、そのうち具合が悪くなり亡くなってしまった。
 次に婿入りしたのが体のでかくて色の黒い男らしい人。
 この人も直に具合が悪くなって亡くなり・・・
 三人目のご亭主が、この間亡くなった。
 弔いには過去に行ったことがあるが、いずれもうまく言えないから
 今度はご隠居さんに教えてもらいたいと、こういうわけでやってきた。

 三人もの亭主が次々に亡くなるわけは、奥さんが美人過ぎるからだ、と
 ご隠居が話すが、その意味がなかなかわからない。

 ご飯をよそってもらう。それを受け取る手と手が触れる。
 顔をあげると抱きしめたくなるようないい女!ってんだ、
 ご飯ご馳走様ってなったあとはすることがねぇやね。
 だから、短命なんだよ。

 何度かこういう説明を受けてようやくそのワケを理解した男は
 自宅に帰ってさっそく自分の女房に、茶わんにご飯をよそってもらい
 両手で渡してもらう。手と手が触れ合うまでは良かったが、 
 顔をあげたら自分の女房で・・・

 「ああ、大丈夫だ、俺は長命だ」

 


タグ:右左喜 吉弥
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