墓見

【墓見】
　花見ならぬ、墓見が趣味の男が居た。

　薄暗いところで墓見をしていると
　何かに躓いた。見てみると死体があり、
　男は手を合わせて拝んだ。

　するとこの夜、訪問者があった。
　昼間、墓のところで手を合わせてくれたお礼だといい、
　生前敵わなかった「おかみさん」にさせてくれというので
　幽霊なら着物は白いの一枚で良いし、草履も要らないし
　飯も食わないからいいかな～ってんで二人、夫婦になる。

　これを知った同じく変わり者が、真似をして墓見に出かけるってえと
　ワナにはまったキツネを殺そうとするものがいた。
　かわいそうだから見逃してやってくれ、と頼んだところ
　三両で手を引いてくれた。そのあとでこのキツネを逃がしてやると、
　その晩、女狐がお礼に、とやってくる。

　油揚げだけ食わしとけばいいんだから・・・なんつって
　女狐を「人間の女」に化けさせ、女房にする。

　次第に周りの連中は気味悪がり出した。
　あそこんちの嫁はコンコンいうからキツネなんじゃないか、というウワサ。
　
　ある日、亭主の留守に女房に声をかけたところ
　驚いた拍子に「コン！」と正体を現し逃げてしまった。
　ひょっとして亭主もキツネなんじゃね？と疑いだした連中は
　亭主のおじさんに当たる人の家にいき、
　あいつはキツネじゃないですよね？と尋ねたところ・・・
　たまたまなんだけれど、、語尾にコンとつけたものだから

　「やっぱりおじさんもキツネなんだ～」

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