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粗忽の釘 [さ]

【粗忽の釘】

 引越しをしてきた家の亭主が、ホウキをかけるから
 釘を打って欲しいとカカアに頼まれるが、
 たたき上げの大工だぜ!と腹立ちながら打ったので
 8寸の瓦釘を薄い壁に打ってしまった。

 

 隣の家に行って、突き抜けてないか、ケガはないか聞いて
 謝っといで、と言われ行くが、言ったのは通路の向こうの家。

 間違いに気づいて隣の家に行こうとするが
 自宅に戻ってしまう。しっかりね、落ち着いてね、と言われ
 ようやく本来の目的である隣の家に行く。

 が、用事を言う前にとにかく落ち着けってんで
 タバコを吸出し、女将さんとはくっつきあいなのかとか
 自分とこの馴れ初めを話て家に帰ってきてしまった。
 馴れ初め話して落ち着いてきた、という亭主を叱り、
 もう一度隣の家へ行かせ本来の用向きを伝えたところ、
 釘が刺さっていたのは仏壇の中の阿弥陀様のまたぐら。

 「ここんとこがロウソク立てで?」
 「お宅が打った釘ですよ!」
 「え!打ったのがこの釘?ああこりゃあ面倒なことになった!」
 「何が!」
 「毎日ここにホウキをかけにこなきゃならない」

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鯉昇さんのこれはこれで終わるが、上方の枝雀さんバージョンだと、
この後に「オヤジを前の家の二階に忘れてきた~」というのが入ったり入らなかったり。

 

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2月10日 鯉昇・喬太郎古典こもり


タグ:鯉昇
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