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尻餅 [さ]

【尻餅】
 年の暮れになると、長屋ではアチコチで餅をつくが、
 あっちの家はいくつついた、こっちはまだだ、と密かに競い合う時代。

 貧乏でもち米も買えない家のおかみさんが、少しでもいいから
 お餅をついて欲しいと亭主に頼んだところ、
 「オレが餅つき屋になるから、夜中にオレを起こせ」
 と無茶苦茶なことを言い出した。
 夜中、カミさんに起こされた亭主は、寒いのに外に出て
 自宅の戸をトントン叩き出した。

 「餅つき屋でございます」

 おかみさんが「ハァ~イ」と演じて戸を開けた。
 家の中に入れてもらえた「偽餅つき屋=亭主」は、
 声色を使い分け、またヒザにゲタを当てて
 人数が多いフリをしだした。

 足音も聞えねぇじゃ長屋の者にバレちまう、というのだ。
 すると餅付きをはじめた。火を起こし湯を沸かし米を蒸し・・・
 挙句に、祝儀を貰うフリまでしている。そして、いよいよ始まる。

 「ウスを出せ~」
 「何だぃ、ウスなんて無いよ!」
 「おめえが四つん這いになって尻出せ。そいつをオレが叩いて
  ペッタンペッタンという音を出すんだから」

 嫌がる奥さんの尻を、水でぬらした手でペッチンペッチン叩き
 ちょうどいい音が家中に響き始めた。
 真っ赤になったお尻の痛みに耐えながら、ようやく一回目の餅付きを終える。
 続いて二回目の餅つきがはじまるが、痛みが増すばかり。
 痛くてしょうがないので、おかみさんは餅つき屋に尋ねる。

 「あとどれくらいつくの?!」
 「ヘィ、あと2升ほど!」
 「じゃあ残りはそのまま食べるから(つかないで)!」

-----*----------*-----
左手を丸くおわんのようにして、ゲンコツにした右手で
餅をつく音を立てるのは初めて見た。

それから、夜中に起こされた亭主が外に出た際、
星空を見上げ、あの星は●●師匠だ、などと
噺を膨らましていたのが、歌丸師匠。
おかみさんと亭主が布団の中でふざけあって仲睦まじい様子を
表現していたのが、吉弥さん。
年代がぜんぜん違うだけで噺の外面が変わるから、
噺家の器量によって色々と楽しめます(*^-^*)
タグ:吉弥 歌丸
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