牛ほめ

【牛ほめ】
　茶室を新しくしたというオジサンの家に行き、
　それを褒めてくるどころか
　なんだかんだとけなして帰ってきた男が、
　再び同じオジサンの、新築の家を褒めに行くことになった。

　けれど、前回けなしたから行きづらいという男は、
　こうやって褒めるんだ、と教えてもらい、それを紙に書き
　翌日、オジサンの家に向かった。

　褒め言葉は覚えていくんだよ、といわれたのに
　酒を呑んでさっさと寝てしまった男。
　案の定、翌朝早くにオジサンの家に向かったが
　褒め言葉を書いた紙は懐に忍ばせたまま。

　玄関から庭、床の間、台所と、危なっかしいながらも
　ひととおり褒め言葉をカンニングペーパーを見ながら
　オジサンに伝えていた。

　最後に、オジサンが一番気がかりな台所の柱の節穴。
　これをどうにかしたいと思っていることも
　前もって聞いていたから、「お札を貼って隠せばイイ」と
　ひと言アドバイスをしたところオジサンは喜んで
　男にお小遣いとして３円を渡した。

　「しかしよくたくさんの褒め言葉、頭に入れてきたなぁ」
　「頭には入れてません。懐に入れてきまして」

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違うサゲもあるおうです。
オジサンの家に居る牛も褒めるようですが
今日のはウシは出てきませんでした。

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