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ちりとてちん [た]

【ちりとてちん】(酢豆腐)
 大店の旦那様は、今日が誕生日で、祝いの席を設け
 皆を招待したが来るはずの人がこられなくなり
 そのために準備しておいた料理の数々があまってしまった。

 そこで、喜ぃさんを呼んで食べてもらおうと頼む。
 この喜ぃさん、美味しい美味しいと食べてくれ、気持ちもよくなった頃・・・
 台所がなにやら騒ぎ出した。

 どうしたのか尋ねると、豆腐を腐らせてしまい、
 カビが生えて面白い見た目になっているとのこと。
 旦那と喜ぃさんも見せてもらうと、ここで旦那、ある企みを思いつく。

 いつも知ったかぶりをする男・たけに
 この腐った豆腐を食べさせてみようと思いつく。
 山葵や唐辛子などの様々な香辛料を混ぜこんで空き瓶に移しかえ、
 木の箱に仕舞って、フタには「長崎名物 ちりとてちん 元祖」と書いた。

 そして家の者にたけを呼びに行かせようとしたら、
 ちょうど前を歩いてきたというので座敷にあがってもらった。

 酒を勧めれば
 「こんなしょーもない酒呑んでるのかー、
  甘くてトロッとしてて呑めたもんではないなー」
 といいつつ、何杯も呑む。

 刺身にうなぎくらいしかないが、つまんでおくれと言えば、
 「珍味はないの、珍味」
 と言う始末。けれど珍味、という言葉はこちらの思う壺で、
 先ほどの「ちりとてちん」をたけに見せる。

 見たことがある、最近人気が出てきてニセモノも出回ってる、
 朝昼晩食べてた、箸の先にちょっぴりつけて食べるのが粋だ、などと
 負けず嫌いの知ったかぶりを発揮し、強烈なニオイを我慢して口に入れる。
 
 目が痛くなったり咳き込んだりしながら飲下したたけに、
 どんな味なんだい?とたずねると、

 「ちょうど豆腐の腐ったような味で」

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関東では「酢豆腐」という演目になっていますが
NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」の影響もあってか、
「ちりとてちん」で広まっているようです。

タケが行ったのは「長崎」と「台湾」、
旦那さんのおもてなしの酒にケチをつけるところで
呑んでいる酒の名前が「白菊」と「灘の木一本」など、
上方と江戸では多少違う部分があるようです。
また、豆腐に混ぜ込む香辛料も噺家さんによって違ってくるし、
たけがちりとてちんを食べた後のリアクションは
噺家さんの器量次第で、面白さが変わってきます。
タグ:まん我 吉弥
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