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植木屋娘 [あ]

【植木屋娘】
 お金持ちの植木屋さん夫婦には一人娘がありました。
 みつという娘は年頃を迎えていたので誰か相手を、と父親が企みます。
 するとお寺の御用で家に来た奉公の伝吉さんを婿にしたらどうか、と考えます。
 文字も書け計算も出来、頭も良く見てくれも良いときているので
 気に入ってしまったのです。

 が、伝吉はいずれ五百万石の家督を継ぐものだという理由で
 住職から断られました。(伝吉はお寺に奉公にきています)
 けれど諦められない父親は用は無いが、と
 呼びつけて娘とふたりきりにさせてみても
 いい雰囲気にはならずヤキモキするばかり。

 それから月日が経過したある日。

 お湯屋帰りの母親が焦って帰ってきます。
 なんと、おみつのお腹が膨らんできている、妊娠しているんではないか、
 というウワサがあるというのです。

 これに焦り怒った父親をなだめすかし二階に上げ、
 おとっつぁんはいないから本当のこと言ってごらん、と
 おみつから聞き出しますと、泣いて相手が伝吉さんだと告白します。

 前から伝吉さんを婿に欲しかった父親は喜んで二階から駆け下り
 そのままお寺に駆け込み、伝吉を婿にもらいたい!と住職に頼みました。
 
 おみつは伝吉の子を宿しているんだ、だから婿にもらいたい、てなことを言うと

 「根回しが上手でんな~」

 「ええ、植木屋ですから」
タグ:鶴光
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