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米揚げ笊 [か]

「米揚げ笊(いかき)」

 友人の笊(いかき)屋から、売り子を紹介して欲しいと言われた男が
 1人の男を紹介しました。
 紹介状を持って笊屋へ向かった男は、さっそく仕事を言いつけられます。

 うちの笊は、後ろから叩いても壊れないことをウリにして
 売っておいで、目の前で後ろから叩けばいい。
 そう教えられ、大小の笊を担いで「米をあげる笊~」と声を張り上げ
 かなり遠くまで売り歩いていたら、
 米の本場である、とある町にやってきました。

 商売ごとは「あがる」「あげる」という、
 上向きの言葉が好まれていたので、
 「こーめーをーあーげーるー」という売り子の男の言葉に
 ある米問屋の主人がほれ込み、
 「あの笊屋の笊、全部買ってやるから連れて来い」と言い出しました。

 何事も あがる というものが好まれる商売なので
 「米を揚げる」と聞けば祝儀が貰え、
 「笊を座敷に全部上げる」と言えば祝儀が倍になりました。
 「兄弟は上に姉と兄がいるだけ」と聞けば、もっと小遣いをやろう、
 姉様は「京都の上の屋敷の上の女中をしている」と聞けば
 主人は更に興奮して、サイフごとくれてやる~!

 でも、そんなにたくさんの祝儀をくれていたんでは
 店が崩れてしまいます、のような事を番頭さんが主人に言ったところ、

 「大丈夫です、うちの笊は後ろから叩いても崩れません」


☆笊・・・ざる、と読みますが、この時代は いかき という風に呼ばれていました。
タグ:よね吉
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