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寝床 [な]

【寝床】
 大店の旦那さまが、道楽で義太夫をはじめる。
 義太夫の師匠が「お上手です、旦那さま」なんて褒めるものだから
 その気になってしまった旦那は、
 第2回目の義太夫の会の開催を思いつく。

 それを聞いた、招待された長屋の者は、皆、
 何だかんだと理由を作って欠席しようとする。
 豆腐屋は、急に注文が入って、がんもどきと生揚げを
 明日の朝までに850作らないといけない。
 もうひとりはおかみさんが臨月だから、
 もうひとりは夜になると熱が出るから。
 成田山にお参りに行く用事がある・・・などと、
 何とかして義太夫の会に行かない理由を作った。

 家では会のための準備がすすんでいて、
 座布団を並べ、菓子が届き、料理人は下ごしらえを始める。
 三味線を弾いてくれる義太夫の師匠さんは糸の調子を整えている。
 そこへ、長屋の者に話を聞いてきた丁稚が帰って来た。

 「中にはお見えにならない方もあります」と言ってはみたものの、
 上記の通り、誰一人として義太夫の会に来ないことが分かると
 店の者に聞かせようということを思いつく。
 が、長屋の者同様、店の者も里へ帰っただの目が痛いだの
 二日酔いで寝込んでますだのという始末。

 いよいよ旦那は怒ってしまい、店の者は里へ帰れ、
 長屋は今夜中に出て行ってくれ、義太夫の会なんかやるもんか!
 と、赤い顔して不貞寝をしてしまった。

 これを聞いた長屋の者が考えた理由で説得をし
 旦那さまは義太夫の会をする気が湧いてくる。
 気分良く義太夫をやり終えて皆の様子を見てみると
 なんと床に皆倒れ、眠っている。
 
 ここは宿屋じゃないんだ、帰っとくれ!と怒鳴っていると
 ひとりの子ども丁稚が泣いていた。

 「どうしたんだ、何を泣いているんだ・・・?」

 「旦那様が義太夫をしていた場所、あそこはアタシの寝床です・・・」

タグ:圓菊
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