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のめる [な]

【のめる】=二人ぐせ

 「つまらねぇ」というのが口癖の八五郎と、
 酒が「のめる」というのが口癖の熊さんが
 互いの口癖があまりにもひどいので
 これから一回言ったら罰金な!という約束を交わす。

 そしてすぐに熊さんは八五郎にいっぱい食わされ
 金を巻き上げられてしまった。
 あまりにも悔しいので隠居の知恵を借りようとやってきた熊さん。

 話を聞いて、隠居は熊さんに言う。
 「練馬の大根を100本もらったから醤油樽につけようと思ってる」
 と言え、と教えられる。
 八五郎はきっと「たぶんそれはつまらねぇ」と言うだろうから、と。
 ご隠居に言われた通り八五郎のところへ行く。

 ところが八五郎の方が一枚上手だった。
 つまらねぇと言わせようとする算段を見抜いてしまったのだけど
 そのすぐ後に言った言葉が、「羽織り出しとくれ」

 羽織を出すわけを聞くと、友達の婚礼がある。自分は仲人みたいなもんだから
 呼ばれてるのでこれから行くんだ、と言ったところで熊さんが
 「そいつぁいいな、呑めるじゃねぇか」
 八五郎は、してやったり、だ。まんまと熊さんから金を巻き上げた。
 婚礼に呼ばれているのはウソで、熊を騙すためだった。

 隠居のところへ戻った熊さん。負けたことを告げると
 八五郎はなかなか知恵者らしいことに気づいて、次は八五郎の家に行かず、
 八五郎が熊さんの家の前を通るのを待て、と教えた。
 ヤツは将棋が好きか、と熊さんに確認すると大好きだという答え。
 これで次の策が決まった。

 熊さん、自宅に帰り隠居に教えてもらった通りに振舞う。
 そこへ湯に行く八五郎が通りかかり、熊さんがしている将棋に見入る。
 たまらずやらせて欲しいと家に上がりこむが熊さんはうなっているだけ。
 そしてようやく八五郎にその場を貸してやると、八五郎もうなっている。
 詰め将棋なら「詰む」と言うだろうが、八五郎は「つまらない」が口癖だから
 「どうだ、難しいだろう」と聞けば「つまらねぇ」と言うに違いない、
 というのが隠居の企みだった。そして案の定、

 熊さんが「どうだ、難しいだろう」と聞けばすんなりと
 「こいつぁ、つまらねぇ」と口にしてしまった八五郎は、
 「熊にしては珍しくうまい知恵だ。感心したから二倍の金をやろう」と、
 当初の決め額よりも倍の金を熊さんに渡した。

 これに嬉しくなった熊さんが思わず、
 「ありがてぇ!これでいっぱい呑める」
 「呑めるって言ったね?!さっきの金、半分返しな」
 「ううぅ、やりやがったな!」 


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2008年5月 浅草演芸ホール@柳亭市馬
   7月19日 大銀座落語祭2008 のめる!の会@三遊亭吉窓
タグ:市馬 吉窓
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