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たがや [た]

【たがや】
 舞台は江戸、両国橋。この日は川開きの日で
 橋の上は人でごった返していた。

 そこに桶のたがを直す職人が道具箱を抱えてやってきた。
 「しまった、今日は川開きかぁ・・・永代に回って帰るのも
  まぬけな話だし・・・声かけながら道開けてもらうしかないな」

 職人とは反対側から侍一行が「寄れ~寄れ~」と叫びながら進んできていた。
 刀を振り回し道をあけろと言っている。切り捨てゴメンの時代なので
 人々は斬られたくないものだから道を開けていたのだけど
 橋の中ほどまで来たら先ほどの職人と出くわした。

 職人・たがやは侍にぶつからないようにと思っていたところ
 人ごみで背中を押され体が前に進んだ。持っていた道具箱が
 その表紙でたがやの手から離れ、侍のカサをパァンと弾き飛ばした。
 
 これに怒った侍は、屋敷に来い、と怒鳴る。
 たがやには腰を痛めたおっとぅと目の悪いおっかあがあっしの帰りを待ってるので
 どうかお許しを~と土下座して頼むが、怒り沸騰の侍はそれを聞き入れない。

 こんなに頼んでいるのに、と今度はたがやが怒り出し、
 職人なのでケンカには慣れている。啖呵を切って、さあ切ってみやがれ!と怒鳴る。

 侍は少し怖気づいたが、たがやが見せたスキを目指して刀を突き出すと
 たがやにより侍は殴られ刀は奪われた。おのれ、と出てきた二人目の侍も同様に
 うまい具合に刀を奪い殴り倒してしまった。残った侍は槍を持っていて
 これまでの二人のように簡単にはいかないと感じたたがや。
 
 「たがやは悪くないぞ!」「こんなところに馬を走らせてくる侍が悪いんだ!」
 この野次馬達の声に後押しされて槍を持つ侍と剣を交えるたがや。
 ふとした拍子に槍の先を切り落とすことができて、
 侍達は「覚えてろ!」の捨て台詞を吐いてその場からいなくなった。

 後に残ったたがやと町人達。誰が言ったでもなく、
 侍を追い払ったたがやが誇らしくて
 胴上げのように高く高くたがやを投げ続けた。
 それを見た一人の町人が、

 「たーがやー!」

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本来のたがやは、ケンカの末に侍の首か
たがやの首がはねられ、その拍子にポーンと
空高く首が飛び上がることから
「たーがやー!」となるそうです。
これを読んで、本当はそうだったのか!と驚きました。
談志さんは、最後に「たーがやー」の声がかかるワケが
侍の首が飛ぶとその声がかかるワケにつながらないというので
たがやの首を飛ばすサゲにしているそうですが・・・
打ち上げた人の名前を言うわけだから、
これはどうあったって侍の首を飛ばしたのは「たがや」なわけで
すると「たーがやー」の声かけでいいんじゃないのかなーと思いますが。
時蔵さんのサゲも侍の首が飛んでました。

夏の落語として、花火の掛け声「たーまやー」の小話を
マクラに盛り込んで演じられる噺家さんが多いのだそうです。

首を飛ばすサゲにしなかったのは
たい平さんの好みなんでしょうかね(*^-^*)

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2008年7月16日 みたか井心亭@林家たい平
   7月23日 松丘亭寄席@林家時蔵

タグ:たい平 時蔵
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