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紺屋高尾 [か]

【紺屋高尾】
 染物やの職人・久蔵が寝込んでいる。医者にワケを聞いてもらうと
 どうやら花魁・高尾に恋しているようで、
 何を見ても高尾太夫に見えて仕方がない。
 そしたら医者が、じゃあいっぺん合わせてやろうと提案する。
 高尾に会う算段はわたしがつけるから、と医者が言ってくれたので
 高尾太夫に合う為ならば、と10両貯まるまで3年間みっちり働いた。

 3年が経過して、店の旦那にこれまでの給金を出して欲しいと言う。
 ワケを聞かれてようやく高尾に会いに行くんだと話したところ
 身支度全てを整えてくれ、更に3年間分の給金に1両プラスした
 10両の金を出してくれた。

 この金を持って医者のところへ行き、野田の醤油問屋の若旦那という
 名目でもってお茶屋で高尾太夫に会う手はずを整えてもらった久蔵は
 ようやく高尾太夫に会うことができた。

 一晩共に過ごした翌朝、高尾太夫が久蔵に言った。

 「次はいつ来てくんなますか?」
 これを聞いた久蔵、ウソをついてはいられないと、
 染物屋の職人であること、次はまた三年働いて金をためないと
 ここへは来られないことを話してしまった。

 高尾太夫はこの素直さ、一途さに惚れてしまい、
 「来年三月に年季が明けたら
  アチキを女房にもらってくんなますか?」
 ウソかと思えば、これを持っていれば亭主も同じ扱いになるという
 太夫の化粧道具の一部をもらい店に帰ってくる。
 店の旦那にこのことを報告し、
 「来年の三月って何月でしょうかね?」
 来年三月が待ち遠しい久蔵は、何を言われても「来年三月~」というありさま。

 そして年があけて三月。花魁が染物屋にやってくる。
 手と手をとりあって喜ぶ二人は店の旦那のお陰もあって
 隣に小さな店を構えた。

 染物屋で、高尾が藍染の甕に手を入れて色々なものを染めてくれる。
 品を受け取るとき、「また来てくんなまし~」と言われることが評判になり
 末永くこの店も二人も安泰でした。

 二人の恋の話でしたー。

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これと似た話に「幾代餅」があります。
あちらは、幾夜太夫で、久蔵の奉公先は米問屋。そして会えるように
お金を貯めるのが一年間で、久蔵の恋の悩みを見抜いて合わせてやると
言ってくれるのが店の親方になっています。
そして夫婦になった二人が切り盛りする店は幾代餅という餅屋。
似て非なり。
タグ:燕路
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