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三十石 [さ]

【三十石】
 喜六と清八。淀川を三十石船で下ろうというとき。

 船が出るまでまだ時間があるので
 宿で食事を済ませる。ざわつきながら食事をし
 いよいよ船に乗り込んだ。


 座る場所はもう無いが、一人だけ場所を詰めてのせて欲しいという声に
 勝手に「若い女性」だと決め付け想像した喜八は
 自分のヒザに乗せるから、と名乗りを上げてしまった。
 先に荷物だけ受け取ってくれ、というので荷物をもらい
 近くの柱にぶら下げたとき、最後の一人が乗り込んできた。

 が、実際に乗り込んできたのはヨボヨボのおばあさんで
 先ほどの荷物は尿瓶だった。驚きながらしょうがないと諦めた喜八。

 他の客も夜になると寝静まる。

 船頭さんが船を漕ぐ。キィ、キィ、と音を立てて、舟歌を口ずさみながら
 チャプン、チャプン、と水の音をたてて船はゆっくり進む。
 そのうち一人の客がトイレに行きたいと言い出すが
 船の上じゃはばかりなんか無い。船からお尻を突き出して川に落としてしまえ、と
 教えたところ、その女の客のお尻に見入ってしまって船頭の一人が川に落ちてしまう。

 しょうがないなあ、と仲間から笑われ、それでも船はゆっくり、確実に川を下る。

 淀川をのどかに下る三十石の道中でした。

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2008年7月29日 桂吉弥発売記念サイン会付き落語会@内幸町ホール
タグ:吉弥
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