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藪入り [や]

「藪入り」
 奉公に出た子供が、3年が経ったある日、田舎への帰省を許される。
 明日は我が子の薮入りだってんで楽しみに夜を明かす両親。
 まだ2時だ、4時だ、と時間の進みが遅いと感じつつ、
 あっという間に朝になる。

 「ごめんくださいまし!」

 倅が帰ってきた。
 照れくさいおとっつぁんは下を向いて倅の顔が見られない。
 
 「お父さま、お母さま、ご無沙汰いたしておりました」
 きちんと挨拶する倅の成長に喜ぶ両親。
 旦那さまから預かってきたお土産と、自分が小遣いで買った
 二人の好物の菓子を手渡し、湯屋へ行く倅。

 良い着物、良い草履を履かせてもらって、あいつは可愛がってもらってる。
 躾もして育ててくれるんだありがたいなぁと感慨にふけるおとっつぁんに
 おっかさんが焦った声で話しかけた。

 高い土産を買うなんて、丁稚の少ない小遣いではムリだろうから
 小遣いを少しでも入れておいてやろうと財布をあけたら
 中に小さく折りたたまれた五円札が3枚入ってた。
 初めての里帰りにしては多すぎやしないかい?奉公の身なのに。
 と、倅が店の金を盗んだんではあるまいな、と驚いていた。

 そこへ倅がサッパリして戻ってくる。
 口よりも手が先に出るおとっつぁんは、パァンと一つ叩いてしまった。
 倅は泣きながら、盗んだ金ではないことを訴える。
 ネズミ捕りをし、そのネズミを交番に届けたら懸賞があって
 十五円は懸賞金なんだということ、
 里帰りに先立ち、旦那さまはこの預かっていてくれた十五円を出して
 おとっつぁん達に使ってもらえ、と言ってくれたので持ってきた。
 後でおっかさんに渡そうと思っていたことを話した。

 そんなにいい旦那さまなら、忠誠を誓って
 忠実に働かないといけないよ、と話すおとっつぁん。

 そして、帰ってきたとき、子供がいやにおとなしく礼儀正しかったのを思い出し、

 「ネコかぶってんじゃないかと思った」

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楽太郎さんのサゲはこんな感じでした。
この他、サゲは色々と変わるようでたい平さんのサゲとは違っていました。
たい平さんのそれは
 「おとっつぁんもおっかさんも昨晩は、寝ずに(ねずみ)待ってた」
でした。

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