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転失気 [た]

【転失気】(てんしき)
 医者に診察を受けた和尚さま。帰りがけ、医者から
 「“てんしき”はありますかな?」と聞かれるが、
 それが何のことだかわからない。

 でも知らないなんて言えないので、「いいえ、ありません」と
 適当な返事をする。“てんしき”がないとなると
 それなりに薬を調合しないといけないので、
 では後でとりに来るように、と医者は言い残して帰った。 医者が帰った後。
 “てんしき”が何のことか分からない和尚さまは
 小僧の珍念に、花屋で“てんしき”を借りておいで、と言いつける。

 和尚に“てんしき”とは何ですか、と尋ねると
 先日教えたのにもう忘れたのかーと怒られるものだから
 ちんねんも“てんしき”が何のことだかわからないまま、
 花屋に“てんしき”を借りに行った。

 花屋に“てんしき”を貸してほしいというと、
 「二つ床の間に飾っておいたんだが、ひとつは落として割れてしまった。
  もうひとつは今朝、おみおつけにして食べてしまったんだ」
 という。「落として割れてしまった?おみおつけにして食べちゃった?」
 珍念は悩む。寺に戻り、“てんしき”は手に入らなかったことを告げると
 薬を貰いに行くついでにお医者さまに教えていただきなさい、と言われる。

 首尾よく薬を受け取った珍念は、医者に合い“てんしき”が何かを尋ねる。
 知らないものは知らないとはっきり言う事で
 いろんな事を覚えていく。と褒められ、“てんしき”の説明を受けた。

 無事、“てんしき”が何であるかわかった珍念は、
 いつも知ったかぶりをする和尚さんを騙してやろうと思いつく。

 和尚に“てんしき”は、盃のことだと告げる。
 一瞬悩んだ後、「呑酒器」と書いて、「てんしゅき」か!とひらめいた和尚は
 翌日、医者が診察に来た際、「わたしの自慢の呑酒器をお見せします」と胸を張る。

 珍念に箱に入った盃を持ってこさせ、医者の前へ置く。

 医者は“てんしき”とは「オナラ」の事であると分かっているから、
 それを見せられるんじゃ・・・とおののくが、
 和尚は構わず、「先生もたいそうお好きだと聞きますよ~」
 「毎晩、食事の時に、ねぇ。奥様とさしつさされつで」と一人盛り上がる。

 「ニオイは無いのか?」と聞けば「アタシがちゃんと洗ってるから大丈夫」
 ニオイがなく洗えて箱に入ってる?ハテ?
 恐る恐る箱を開けると、そこには盃が入っていた。

 「ほほぉ、これは見事な・・・盃ですなぁ」
 「ええ、それね、呑酒器です」
 「医者では“てんしき”のことは“オナラ”のことです」

 「これ~っちんねん~~~!」

-----*----------*-----
サゲは色々あるようで、
「酒もオナラも“ツマミ”がいります」と言う場合と、
「いつ頃から、盃を“てんしき”と呼ぶのか」と聞かれ、
「(オナラだけに)平安時代です」と言うものと、
「はじめからクサイ話しだと思った」と言うものがある。

柳亭市馬さんのサゲがどんなだったかは
ちょっと笑いすぎて忘れました。

<2008年7月16日追記>
市馬さんのお弟子さん・市丸さんの噺を聴く機会がありました。
前座さんであることから持ち時間がそんなに無く、
噺は珍念が医者に薬をもらいに行くところからはじまりました。
市丸さんはなかなかの好青年でありました。
タグ:市馬 市丸
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