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替り目 [か]

【替り目】
 酔っ払いのダンナに、車に乗ってはくれないかと頼む車屋さん。

 しょうがないから乗ってやる、家まで、ということで
 車屋さんが走ろうかなーと思ったその時、止まってくれという酔っ払い。

 角の家に灯りが着いていて、こんなに遅くまでおきてちゃ危ないから
 灯りを消してさっさと寝なさいよって言って来て欲しいと言い出した。

 んなのほっときましょうよ、と車屋は言うが、
 言ってきてくれなきゃ一生この車から降りないよ、と
 酔っ払いの絡みがはじまる。

 仕方がないので戸を叩き、家人を起こし
 酔っ払いがこういうワケでうるさいからと言っているスキに
 酔っ払いのダンナはこの家に入り込んでしまった。

 あのダンナ、家に上がっちゃいましたよ!?と驚く車屋さんに
 家人は「いいんだよ、ここはあの人の家だから」

 酔っ払いはこの家の主で、家人はおかみさんだった。
 おかみさんはヨソ行きの声で車屋に駄賃を渡し帰ってもらったが
 振り返ると酔っ払いのダンナが居て、怒り出す。
 けれどヘベレケのダンナは、酒を出せ、つまみはないのかと騒いでいる。
 何を言っても寝そうにないので、酒を出しておでんを買ってくると
 家を出たおかみさんと入れ違いに、鍋焼きうどん屋さんが
 家の前を通りかかる。

 酒は出してもらったが、燗がされていないから
 うどん屋さんを呼びつけ燗をしてもらった。

 うどんを食べてくれるのかなーと期待して
 酔っ払いの言うことを聞いていたのに、酔っ払いのダンナは
 うどんは大嫌いだという。
 早く出て行かないとぶっ飛ばすぞ、と脅され逃げ帰ったうどん屋。

 おでんを手にして帰って来たおかみさんに事の次第を話した。
 「親切なうどん屋さんだねぇ、で?うどんは?」
 「うどんは大嫌いだと言ったら雑煮をすすめるから、薪だっぽ(薪?)で追い出した」
 「ヤだよ、車屋さんもうどん屋さんも酔っ払いの気分でいじめちゃダメだよ! 

 おかみさんは1杯アタシが食べるから、と、
 近所をまだ歩いているうどん屋さんに声をかけるが
 なかなか来てくれない。

 近所の人がうどん屋に声をかけたところ・・・

 「うどん屋、角の家が呼んでるよ、行ってやんなよ」
 「角の家?ああいけません、今行ったらお銚子の替り目だから」


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