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死神 (鶴瓶版) [さ]

【死神】
 妻に逃げられ、仕事をクビになった男が死のうと思いつめ
 クビをくくろうとするがうまく行かず、身投げをしようにも
 河が浅くどうにも死ねない。足の裏に砂利がくっつき痛い。
 ああ痛い、痛い、と嘆いていると一人の女が目に入った。

 「あんたは死なないよ」とその女は口にした。
 聞けば女は死神で、男は90歳まで生きる、と言う。
 でも仕事が無く妻子に逃げられた男には生きる希望が何もない。
 死にたいからどうにかしてくれ~と頼むが、断られる。
 ここで死神、何があったのかと聞いてきたので
 妻子が逃げてしまったことと、仕事をクビになった原因を話した。 喜寿の祝いに家を新築した旦那さまのところにお祝いを持っていった。
 緊張してしまうとつい余計なことを口に出してしまう性分で、
 このときもそのクセが出てしまい、家を建てるのは半年でも
 火がついたら一晩だ、旦那さまが無くなった夜に火がつけば
 遺体を火葬にする手間が省ける、と言ってしまった。
 (ここらは「牛ほめ」のエピソード)

 悪気は無かったがその家の者たちに殴られつまみ出されてしまい
 更に後日、旦那さまが本当に倒れ寝込んでしまった。
 どうもバチが悪い、死ぬしかない、と思い詰めてのことだという。
 でも、仕事も無いのに90歳まで生きててもしょうがない、どうにかしてくれ~
 と死神に泣きついたところ、死神が仕事を与えてくれた。
 病床についている人の家に行って足元に死神がいたら
 手を2回打って死神を追い払う仕事を。
 ただし枕元にいたら手出しは出来ないのだという。

 男が死ぬのを諦めて帰宅すると、近所の人が男を呼びにきた。
 知り合いが病気でもう最期だから顔を見てやって、というので
 病人のいる部屋に行ってみると足元に死神が居た。
 男は先ほどの呪文を思い出し実行してみると死神が消えた。

 さっきまで唸っていた病人はスッキリした表情で起き上がった。
 空腹感を訴えるほどだ。そこへ亭主が医者を連れて戻って来て騒ぎになる。

 本当に効き目があったことに驚いた男は寝込んでる旦那の家に行って
 旦那の死神も祓うことに成功した。借金も棒引きしてくれて
 大量の報酬を手に入れた。
 
 「何でも治す」と評判になり大金を手に入れるが
 生来グウタラなものだから手に入った金は全て
 女郎屋でもって使い果たしてしまったうえ、
 近頃は呼ばれていった病人のほとんどに死神が枕元にいて手が出ない。
 「ご臨終です」「寿命です」と言い続けていると
 あの人を呼ぶと死んじゃうという悪評が広まってしまった。

 金が底をついた頃・・・家に帰るとあの時の死神が来ていた。
 掃除をし洗濯をし繕い物をしてくれていて、
 ひと月も家を空けて何をしてたのかと心配する小言を言う。

 男は死神にまた泣きついた。近ごろ枕元に死神がいる、と。
 するとこの男の頼みごとを断れない死神は
 あと数日で死神が枕元に行く予定の病人が居るから
 今すぐ行って追い払っておいで、と教えてくれ、
 男は再び大金を手にする事が出来た。
 そしてまたしても女郎屋でもって金を使い果たし、10日後に帰宅する。

 すると例の死神が怒って待っていて、あたしさえも裏切るんだから
 女房子供に逃げられて当然だよ。だからあんたは・・・と、
 生まれた村に居られなくなったワケまでもしゃべりだした。
 顔を良く見てみると、幼なじみのおあきだった。
 懐かしい幼なじみのおあきが死神になったワケを聞こうとしたとき、
 逃げた女房の家のものが男を呼びにきた。女房の息が絶え絶えなので
 今のうちに会っておきなよ、という。
 
 行ってみると枕元に死神が居た。男には手が出せないはずなのに
 とある細工をして死神を追い払ってしまった。
 女房が目を覚まし空腹を訴えたことで大丈夫だな、と思った男は
 おあきのいる家へ急いで帰った。

 すると、おあきは大変なことが起きたと言い、
 家の裏手にある井戸の中に男を連れて行った。

 井戸の中にはロウソクがたくさんたっていて家が建っている。
 おあきが「入ってごらん」といった家に入ると
 二本のロウソクが立っていた。一本は太く長く元気に燃えている。
 これは男の倅なんだと言う。その隣に立つ、細く長いロウソク。
 これは奥さんのロウソクで、障子を開けた暗い部屋にある
 燃え尽きそうなロウソクはおまえさんのだと教えられた。

 奥さんの寿命はあそこで終わるはずだったのに
 布団の向きを替えた事で、90歳まであったおまえさんの寿命と
 入れ替わってしまったのだ。

 「死にたくない、なんとかしてくれ~」と再び泣きつかれたおあきは、
 自分が持っていたロウソクを差し出した。
 「急いで火を移すんだよ、消えたら死んじゃうから慎重にね!」

 渡されたロウソクは芯が濡れていて火がつき難い。手を震わせながら、
 ようやくロウソクに火がついた。
 消えかかっていたロウソクの火がキレイなロウソクに移った。

「何で濡れてるんだ、このロウソクは?」

「自分で自分の命を絶った者のロウソクは、涙で濡れているのさ・・・」

 村一番の美人で男勝りなおあきは何故自害したのかを男は聞いた。

 「ずっと好きだった男に、会いたい会いたいと思っていた男に
 死んでから会えるなんて思わなかった。でも会えた。
 あんたの望みどおりに事は進んだろう?
 クビをくくろうとしてダメだったのも、河が浅かったのもあたしが助けたの。

 村で、あんたは女の子に手を出しまくっていた。
 そのうち村に居られなくなって村を出てしまった時、
 あたしはこんなにも涙があるのかと思うくらい泣いたんだ。
 本当は好きだった。あたしにだけ何も言ってきてくれないんだもの。
 そのうちおとっつぁんが借金をこさえてしまって、
 そのカタにあたしは女郎屋へ売られてしまった・・・
 見ず知らずの男に体を汚されるくらいなら
 キレイな体のまま死にたい。そう思って、身を投げたの・・・」

 自分をずっと好いていてくれたことを知った男は
 自分もおあきが好きだったと言った。嫌われたくないから、
 おまえにだけは手を出さなかった、と。
 そして火をつけたばかりの自分のロウソクの火を、吹き消した。

 これを見たおあきがひと言、
 「あぁ、これでやっと一緒になれる・・・」
タグ:鶴瓶
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