SSブログ

蛇含草 [さ]

【蛇含草】じゃがんそう

 フンドシに甚平姿で遊びに来た男。

 キレイな家でいいな~と友だちの家の中を褒めてると
 神棚に草があるのを見つける。

 「これだけ家の中がキレイなのに神棚に草があったらダメでしょ」
 と友だちに問うと、

 「あれは蛇含草といって、人を食った蛇がへたばっていたところ
 この草を食べたら胃の中のもの(人)がしゅーっと溶けて
 腹膨れが治ったと言われる草で、まあ厄除けになるかなあと思って飾っている」
 と言う答え。

 ならば面白いので少しだけ草をくださいと頼みフンドシの紐に結わえ付ける。

 次に見つけたのが、目の前の友だちがやっていることだった。
 夏の暑い時に火鉢を抱えて餅を焼いていた。
 知り合いから餅をもらったが、腐らせたりカビらせたりしたらもったいないから
 夏だけど餅食べようかなあと焼いてるところだ・・・・と言うと、
 まだ食べるかーとも言ってもいないのに焼きあがった餅を勝手に取り
 ハフハフと食べてしまった。餅が大好きなんだという。

 この行儀の悪さに怒った友だち。
 「餅が惜しくて怒ってるんじゃない、行儀が悪いから怒ってるんだ!
  餅が欲しけりゃ全部くれてやるが今のこの振る舞いは悪すぎる!」
 とまくし立てた言葉を聞いて、

 「餅全部くれるって言ったね、ならば全部食べまっせ!」と啖呵を切ってしまう。
 そしてあれよという間に箱の餅を3個だけ残して食べてしまった。
 腹は膨れ、これ以上一口たりとも口に入らない。

 「すんません、許してください、もうしません」
 と友だちに謝って家に帰らせてもらうが、すぐに横になったらいけないと言われたのに
 布団を敷いて横になってしまった。
 だが横になっても腹が苦しくてしょうがない。
 そうだ、あの草・・・と思い出し、フンドシの蛇含草を食べた。

 少しして、先ほどの友だちが家を訪ねてきた。
 これこれこういうわけで餅をたらふく食べたが帰ってきたか?と聞くと、
 奥の部屋で寝てる、と聞きさっそく声をかけてみる。
 障子越しに声をかけても返事が無い。戸を開けてみると、
 餅が甚平を羽織ってウゥーンと唸っていた・・・。
(蛇含草は腹の中を人を溶かすから)


-----*----------*-----
2008年7月29日 桂吉弥発売記念サイン会付き落語会@内幸町ホール

タグ:吉弥
トラックバック(1) 

トラックバック 1

王子納涼落語会胴斬り ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。