SSブログ

唐茄子屋政談 [た]

【唐茄子屋政談】

 遊び呆けていたため勘当された若旦那・徳は、
 行くところが無いため出入りの職人の親方の家に寄ったが、
 若旦那を家に入れたら出入り禁止にすると言われているから
 出て行って欲しいといわれる。

 誰にも相手にされず、そのうちお腹が空いてきた。
 歩きつかれそこら辺で横になり夜を過ごすがそのうち身も汚れてくる。
 天気は晴れの日ばかりではなく、雨が降り続く中を汚れを落とそうと
 雨に当たり続けるが、夜になれば雨は上がってしまった。

 着の身着のまま街をふらつくうちに、吾妻橋にさしかかった。
 腹は減ったし声は出ないし、ここから飛び降りれば・・・と
 欄干に足をかけようとしたところを偶然通りかかったおじさんに助けられる。
 おじさんは勘当された徳だとは知らず助けたが、徳だとわかり驚く。
 何でもするから、と懇願し、達磨横丁のおじさんの家まで連れられて行く。

 家に着くと、簡単な食事をさせてもらい、二階で死んだように眠る。

 翌朝になると叔父さんは唐茄子を売りに歩いて来いと言いつける。
 みっともない・・・と口答えをすると、
 金は汗水たらして働いて手にするもんだと諭され、
 おばさんが出してくれた着物に着替え唐茄子屋の仕度を整えて歩き出す。

 が、坊ちゃん育ちの徳にはきつく、田原町まで来ると
 肩に天秤棒が食い込むのが辛くて転んでしまい、唐茄子は転がった。
 様子をみていた町人が徳の話を聞いて
 「若いうちの苦労は買ってでもしろ」というから、と応援してくれ、
 町人の力で持って唐茄子を売ってくれた。残り二つになったところで、
 ここからは自分で売っておいで、といわれる。二つなら担げる。

 徳はただ歩いていたことに気づき、売り声の練習をし始める。
 田んぼの中に出て練習をしていると向こうに見える景色が
 道楽しまくった吉原だと気づき、懐かしい放蕩の日々を思い出す。
 ノドが慣れてきて声が出るようになり再び歩き出した徳。
 すると見た目質素な奥さんが唐茄子をおくれ、と言ってきた。
 
 残り二個を売り切ったところで、弁当を食べたいのでお茶を、と頼むと、
 その家の子どもが徳の弁当を見つめ、食べたいと騒ぎ出す。
 何事かと聞いてみれば、亭主はとあるぬれ衣を晴らすために家を出たっきりで、
 自分が働こうにも体がついてゆかないのでたいした収入にならない、と泣き崩れる。
 
 これを聞いた徳は、食べかけの弁当を子どもにあげ、
 親切な町人が売ってくれた売上を「何かの役に立てて欲しい」と言い残し出てゆく。

 叔父さんの家に戻った徳は、気の毒な親子に
 弁当とお金を全部あげてしまったと報告する。
 すると、それは本当なのかと叔父さんを連れてその家に行ってみた。

 すると、ひと騒動が起きていた。徳が金を渡す様子を見ていた大家が、
 徳が帰った後で店賃だと言っておかみさんから金をふんだくったらしい。
 夕方になって灯りがつかないのを不審がった隣家のおかみさんが中を覗くと
 おかみさんの足が宙に浮いていた。首をくくっていた。

 みんなでおかみさんを下ろし医者に見せているところで
 何とか息を吹き返したところだというのを聞いて、
 徳は大家の家に怒鳴り込んだ。
 驚く大家に構わず、やかん頭の大家にやかんを投げつけた。

 この後、徳はこのことを奉行所へ届け出た。
 自分が行かなければおかみさんは死んでいたということで
 大家はきつくお叱りを受け、徳は人助けをしたとして
 褒美をもらったうえ、勘当が解けた。


タグ:圓菊
nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。